健康増進法に基づき、全ての事業所を対象に、従事者の心身の健康保持増進に寄与することを目的に、虫歯や歯周病などの管理を行う歯科健康診断です。これは、企業の健康経営(=企業が従事者の健康を経営的な視点で管理し、戦略的に実践すること)の一端を担うもので、企業の生産性向上が期待できるほか、メタボリック症候群や高血圧など全身疾患の予防策として医学的に証明されています。また社会保障費抑制にもつながると注目されています。
加えて、政府は「骨太の方針」で「国民皆歯科健診の2025年導入を目指す」としています。国民皆歯科健診の導入が決まれば、「有害な業務」でなくとも全企業に毎年1回、従業員の歯科健診実施が義務付けられることになります。導入決定から動くのでは、健診対応可能な歯科医師探しから始めなければならず、人事労務の混乱が予想されます。企業活動の年間計画を立てるためにも早期の導入・検討がおすすめです。
ところで、企業歯科健診は全国でどのくらい実施されているのでしょうか。実は2024年現在、東京周辺地域(茨城、群馬など)では積極的に導入されていますが、他の地域ではまだ少ないのが現状だそうです。北陸三県では石川県が比較的熱心に取り組んでいます。当院周辺には、広上工業団地(射水市)、大門企業団地(射水市)、大島企業団地(射水市)、流通センター(射水市)、二塚企業団地(高岡市)、戸出工業団地(高岡市)、オフィスパーク(高岡市)などがあり、小規模~大規模の事業所が集まっています。各事業所様におかれましては、ぜひとも歯科健診を健康経営の一助として、前向きにご検討・ご活用いただければと思います。私(院長)も微力ながら地域の価値向上に貢献できれば幸いです。もちろん当院周辺に限りません。富山県内で企業歯科健診をお探しの方はお気軽にご相談ください。
「とやま健康企業宣言」とは?
健康経営に取り組みStep1認定を受け「銀の盾」をもらわれた事業所様もあります。
「健診」と「検診」の違い
「健診」とは、「健康診断」あるいは「健康診査」の略。予防医学では一次予防に該当する。
「検診」とは、特定の疾患の早期発見を目的に行われる検査。
労働安全衛生法第66条第3項に基づき、事業者は、歯や口腔内など健康に有害な化学物質を取り扱う労働者に対して、歯科医師による健康診断を実施し、その結果を所轄労働基準監督署へ報告しなければなりません。これは事業者にとって50万円以下の罰則付き義務となっています。(かつて義務の対象は50人以上の事業所でしたが、2022(令和4)年10月改正により人数要件が撤廃されました。)
塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りんその他、歯またはその支持組織に有害な物のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務(※1)に常時従事する労働者
(※1)例:化学工業、窯業、土石製品製造業、非金属製造業、メッキ工場、バッテリー製造工場等における業務
アクリルアミド、アルキル水銀化合物、塩素、塩化メチル、カドミウム、クロム、クロム化合物、五酸化バナジウム、臭化メチル、シアン化物、水銀、水銀無機化合物、セレン、セレン化合物、トリクロルエチレン、鉛、鉛化合物、二酸化硫黄、ニトログリコール、パラ・ニトロクロルベンゼン、砒素、砒素化合物、フッ化水素、ペンタクロフェノール、マンガン、マンガン化合物、有機溶剤、有機リン化合物、ヨウ化メチル、硫化水素、硫酸ニコチン、その他
対象業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、対象業務への配置替えの際、対象業務についた後6ヶ月以内ごとに1回
健診項目 | |
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A健診 |
(1)口腔診査
(2)口腔衛生指導 |
B健診 |
(1)口腔診査
(2)口腔衛生指導 |
C健診 |
(1)口腔診査
(2)口腔衛生指導 |
種別 | 1人当たり |
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A健診 | ¥3300 |
B健診 | ¥5060 |
C健診 | ¥3300 |
歯科健診申し込み依頼
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事業所の担当者様と打ち合わせ(日時、実施場所、料金など)
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契約(内容を確認し覚書を作成)
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企業歯科健診実施
↓
当院より健診個人票と健診結果報告書の提出
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企業歯科健診(特殊)の場合、事業所から労働基準監督所へ「歯科健康診断実施報告書(様式第6の2)」を提出
↓
以後、企業歯科健診(特殊)は定期的に6ヶ月に1回実施(既に義務)。
企業歯科健診(一般)は、国民皆歯科健診が導入されれば年1回実施すること。
企業歯科健診をご検討中で、対応可能な歯科医師をお探しの事業所様は、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。また、既に実施希望で日時等のすり合わせを行いたい事業所様は「企業歯科健診申し込み」にご記入後FAXください。内容確認後こちらからご連絡いたします。
ほたる野歯科医院
院長高田恒弘
産業歯科医(※2)資格あり
〒939-0256 富山県射水市広上320-12
TEL&FAX:0766-51-7744
(※2)産業歯科医とは、労働安全衛生法に定められている産業医の中で、特定の業務につく労働者の健康診断を担当する歯科医師をいう。日本歯科医師会の研修を修了した認定医。産業歯科医は、事業者または安全衛生管理者に対して必要な勧告をする権限を持つ。
最近思うこと(2025.2)
私を含むすべての医師・歯科医師などの医療従事者は、もっと外に出て他の業界を知るよう努力すべきです。医療従事者には専門的知識と技術を積み重ねた強みがありますが、同時に実は「世間知らず」という弱みを持っています。良くも悪くも守られた業界にいて、日常的に周囲から「先生」などと呼ばれ、気付いたら「お山の大将」になっている⋯。そんな傾向を感じるのは私だけでしょうか。はじめは「地域医療のため」だったかもしれない活動も、いつの間にか「自分のため」になり、「公転」から「自転」になってしまう。日本では特にその向きが強く、それではいかんと常々思っています。好奇心をもって外の世界を見に行く。自分の足で一次情報を取りに行く。例え自分のよくわからない話でも少し聞いてみる。そんな前向きな姿勢があってこそ「公転」できるのであり、人々が本当に求める地域医療が提供できるのではないでしょうか。
当院の外来では、タイ、ベトナム、ブラジル、パキスタンなど、日本語を母国語としない患者さんが以前より増えました。また、訪問診療先ではタイやベトナム出身のスタッフが多く働いておられます。いつも私(院長)の拙い日本語英語とボディランゲージでなんとかコミュニケーションをとっています(笑)。何を言いたいかというと、外来では既に変化が起きているわけです。そして老人介護福祉施設などの訪問診療先でも、世の中の変化を目の当たりにするわけです。もし更にいろんな業界の事業所を見ることができたら、間違いなく私(院長)にとって大きな学びになるでしょう。ぜひ企業歯科健診というかたちで、私(院長)に学びと成長の機会を与えていただきたく存じます。
一方、事業所様にとっては、企業歯科健診を健康経営の一助と考え導入すれば新しい発見や企業価値がうまれます。そもそも今の医療トレンドは「治療」ではなく「予防」です。人生100年時代に大切なのは、何か不都合が起きてから受診する「治療」ではなく、定期メンテナンス中心の「予防」です。「不都合がないなら、受診せんでいいわ」が強い人は、直ちに脳みそアップデートすることをお勧めします。その意識改革が事業所単位で行える企業歯科健診は、一歩進んだ福利厚生であり、健康IQの高い人材確保・育成につながりとても有意義だと思います。ちなみに歯科先進国と言われている欧米諸国では、すべての人の生涯にわたる歯科健診が既に義務化されているそうです。